ブラックⅠ-出会い-



あきらかに地元の高校の制服を着ているのに、駅が分からないなんて可笑しいんじゃないかと思われてるのかもしれない。



「えっと、あの…道が分からなくなってしまって…」




小さなそんな私の声、



男子高校生達は三年生だろうか。
ずいぶんと大人っぽくて、いやらしいほど着崩された制服に開けたなたれたワイシャツ。




「え?何なに、迷子ってこと?」



なんて手前の茶髪の男の人が私の顔を覗き込む。




ま、迷子って…子供じゃ無いんだからと思うけど、どっからどう見ても今の私は迷子に違いない。




「えっと…はい…」




「えー!何だよそれー!」




てっきり馬鹿にされるもんだと思っていた。



駅もわかんないのかよ!とか言われるんだと思っていたら




「迷子とか!めっちゃ可愛いんだけど!!」




何故か爆笑される私。



え?迷子って可愛いの?
迷子って可愛いものなの?なんて混乱する私をよそに



「まぢか!駅連れて行ってあげようか!」



なんてもう一人が声をかけてくる。





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