ブラックⅠ-出会い-
「こんな所で何してるの?」
振り返らなくてもすぐに分かった。
「一人で出歩いちゃダメだって言われてるだろ?」
不安だった気持ちを、まるで包み込んでくれるような爽やかで優しいトーン。
「さすがの俺でも、これは怒らないわけにはいかないなぁ」なんて付け加えられた言葉はどこか困ってるようにも聞こえる。
「アキ…さん…」
振り返った先にはやっぱり困ったように優しく微笑んでいるスーツ姿のアキさんだった。
無造作にコンビニの駐車場に停められた黒のクラウン。
その様子だと急いで停められたんだって事がよく分かる。