ブラックⅠ-出会い-
「その子、俺の大切な子なんだけど」
私を囲む男達を視界に入れながらこっちへと近付いてくるアキさん。
隣からは「おい、嘘だろあれって神谷組の菅野アキじゃねぇかよ」そんな焦ったような呟き。
「いや、あの…これは!」
「その腕、離してくれるか?」
今だに掴まれている私の腕、
茶髪男によって掴まれている腕をアキさんが見つめる。
アキさんのこんなにも低い声を私はきっと聞いた事がない。
「はい!あの!すみませんでしたー!!!」
そんなアキさんの声を聞いた目の前の男子高校生達は「ぎゃー!」だか「たすけてー」なんて慌てながら私の腕を離すと、一斉にコンビニから立ち去っていってしまった。