ブラックⅠ-出会い-



滑らかに走り出す車。




「レイジ平気だった?」




少し楽しそうに笑っているアキさん。


一体アキさんがレイジに何て言ったのか気になって仕方ない。




「アキさんレイジに何て言ったの?」



あんなにも野獣みたいなレイジを一発で黙らせて、なおかつ私にお出掛けの許可をくれるなんてアキさん凄すぎる。




「くだらねぇ嫉妬もたいがいにしろって」




「…………」




「そんなんじゃすぐ嫌われて、振られるなって」




心底楽しそうにクスクスとアキさんは笑う。




「そんな小さい男の彼女なんて、アオイちゃんきっとすぐ嫌になるだろうなって」




アキさんて、実は凄い意地悪なのかもしれない。



こんな爽やかな顔しといて意地悪に違い無い。




きっとアキさんはレイジをいじめたかったのかもしれない、だってその表情は凄く楽しそうだ。



レイジってば…変なとこ単純なんだから…



私がそんな事で嫌うわけないのに、アキさんに騙されてるって気がつかないところが、




私に嫌われるってフレーズだけで、自分のヤキモチを押さえて、出かけさせてくれたレイジが




可愛くて仕方ない。



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