ブラックⅠ-出会い-
「建物内の案内は明日しますので、今日はゆっくりおやすみになって下さい。必要な物は明日ご用意いたしておきます」
丁寧な言葉使いに爽やかな笑顔、やっぱり橘さんは裏の世界のお方になんてちっとも見えなくて
「ありがとうございます」
こんな真夜中にお邪魔した事が今さら とても申し訳なく思えてきた。
腕にはめられた時計へ視線を移すと、夜中の2時だ。
橘さん、本当にごめんなさい…
「一ノ宮様のお部屋はこちらになります」
そう言って橘さんによって引かれた白く金のドアノブの扉。
「うわぁ」
思わず漏れてしまった声に、口を両手で押さえる。