ブラックⅠ-出会い-
昼休みには、レイジにバレないようにこっそりカエデを呼び出してクッキーを渡した。
レイジには二人きりの時に渡したいから、まだ皆にプレゼントをあげてることは内緒だ。
「ありがとう、大事に食べるね」と言ってくれたカエデからは、白くて可愛いふわふわの手袋をもらった。
いつもの感謝の気持ちでクッキーを焼いたのに、皆がプレゼントを用意してくれていた事に驚いた。
それに皆の素敵なプレゼントに比べて私のプレゼントはクッキーなんて申し訳なく思ったけど、皆喜んでくれたからそれ以上に嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「今日は久々の暴走かー!」
あっという間に終わった終業式、
駐車場に向かっていつもの四人で歩く。
「暴走?」
「あれ?レイ君あーちゃんに言ってないの?皆で走りに行くんだよ!」
それが本気でマラソンの走りだとかは思ってない。
郁也のチームにいる時にもそれはあったから。
年に数回行われる、夜の国道をチーム皆バイクで走る暴走。