ブラックⅠ-出会い-


…………………………………




「ねぇ、知ってる?この街には、絶対に入ってはいけないBARがあるんだって。」



「え?何なに?」




高校に入って直ぐだったと思う。
そんな噂を耳にしたのは。



「繁華街のさ、ずっと奥の、誰も近づかないような場所にあるらしいの」




「うん」




「そこはね、誰もが憧れて近づきたいのに、誰もそこには行かないんだってさ。」




「え?何で?」



この疑問も今なら凄く良くわかる。



「そこはね、とっても危険な所だから」




「じゃあ何で皆憧れるの?」




「噂には、そこは楽園だとか。何でも願いが叶うとか聞いた事ある…」



「それなのに危険って可笑しくない?」




「それは分からない。本当に楽園があって願いが叶うのか…誰にも分からないんだって」




「何か、怖いね」




「そのお店の名前はね」




「うん」





「“Black”」




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