ブラックⅠ-出会い-



だけどリュウガさんの手は私の腰を捉えたままで離してくれない。



「…リュウガさん」



困惑しながら軽く胸を押した私の小さな呟きに、「っち」と小さく舌打ちをするとスルリと手を離した。




「あらあら、このリュウガがねー」




シュウさんのわけの分からない言葉に、アキさんの苦笑いが部屋に響く。



「ほらあなた、こっちに来なさい」




リュウガさんから離れた私にシュウさんは手招きをするとリビングを出て行く。



「いってらっしゃい」




「うん…」




笑顔のアキさんと何故だか不機嫌なリュウガさんに見送られ、私もリビングを後にした。


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