ブラックⅠ-出会い-
「チッ」
レイジの小さな舌打ちが私に届く。
「イツキ、そんな簡単にレイジの作戦を暴露するなよ」
「あ、カエ君おはよー」
今日も爽やかなカエデはイツキの頭をコツンとゲンコツすると、私の隣へと足を進めた。
「レイジの作戦ってどういうこと?」
きっとイツキに聞いても話にならないし、レイジに聞いても教えてくれないだろうしカエデに聞くのが1番早いに違いない。
「アオイちゃんを守るためだよ」
「え?守るため?」
何故私を守るためにレイジとイチャつく必要があったの?
「レイジと住んでるって事は、嫌でもブラストと関わる事になる。そうすると君は狙われる」
郁也と付き合っていたからなんとなく分かる。チームとか暴走族とか敵とか味方とか、色々な事が混ざり合う世界。
喧嘩や揉め事が当たり前な生活。
「それにレイジは人気だから、アオイちゃんを微妙な立ち位置に置いとくより、付き合ってるって皆が勘違いしてくれた方君に手を出す奴は少ない。まぁその反対もあるけど」