月陰伝(一)
第三章〜アジト壊滅と復讐屋〜
「ぼさっとするなよっ?。
A地点、五人、逃がさず確保。
C地点、封鎖。
D地点、バルス部隊とアクア部隊を集結させ、プランXで待機。
情報部からの合図で突入する。
以上」
息をつく暇もなく指示を出し、自身も待機場所に急ぐ。
『結さん、ここまで予定通りです。
A地点は作戦終了。
B地点の封鎖に入ります』
「了解。
別動隊はどうなってる?」
『こちらも予定通りです。
まもなくカウントダウンが始まります』
「わかった。
情報部、タイミングを間違えないでね」
『ラじゃっす』
本当かな?
相変わらずユルい奴らだ。
「突入部隊、注意事項を確認しておく。
第一に、殺すな。
自死もさせてはならない。
第二に、ブツの確保。
一つも見逃すな。
次に、数名の幹部が命を狙われている。
復讐屋達に仕事をさせるな。
後一つ、全員怪我をするなよ」
『『『了解っ』』』
『D地点バルス部隊、待機位置つきました』
『同じくアクア部隊、待機位置につきました』
『情報部より、作戦Dのカウントダウン始めます。
一分前』
風鸞に乗り、上空から配置の最終確認をする。
いくつもの部隊が、小さなビル一つをきれいに包囲している。
『三十秒前』
『B地点封鎖完了』
『二十秒前』
その時、大きな銀の虎が、こちらに向かい、空中を駈けてきた。
《主よ、東の建物の中と、北側の路地だ》
頷いて、インカムのマイクを塞ぐ。
『十秒前…九…八……』
銀の虎に手を伸ばし、その美しい毛皮を撫でながら、その建物に視線を向ける。
「雷光、北の路地を任せる。
手荒になっても良い、捕らえて」
《承知した》
雷光が空中を蹴って素早く遠ざかっていくのを目の端で確認し、気配を読む。
『一、っ作戦開始ッ』
その声で、一斉にビルへと雪崩れ込んでいく部隊を確認し、風鸞を駆って東にあるビルへと降下した。
「情報部、復讐屋をエリア内で二人確認。
作戦地点から、北に二百メートルの路地と、東側のビル内。
路地の方へは雷光を向かわせた。
東側のビルには私が向かう。
位置確認の後、路地の方には回収班を回して」
『了解しました』
インカムを邪魔にならないように小さくまとめ、手綱をしっかり持つと、不可視の術を強く掛け、ビルの周りを螺旋状に旋回しながら飛ぶ。
《我が主、三階北側に確認しました》
その場所に意識を集中し、確かに気配を確認した。
「うん。
風鸞はこのまま、上空を旋回して待機。
万一の時、突入部隊の方の援護を頼むよ」
《っしかし…》
「心配ないよ」
そう言って、何の躊躇もなく鞍から飛び降りた。
A地点、五人、逃がさず確保。
C地点、封鎖。
D地点、バルス部隊とアクア部隊を集結させ、プランXで待機。
情報部からの合図で突入する。
以上」
息をつく暇もなく指示を出し、自身も待機場所に急ぐ。
『結さん、ここまで予定通りです。
A地点は作戦終了。
B地点の封鎖に入ります』
「了解。
別動隊はどうなってる?」
『こちらも予定通りです。
まもなくカウントダウンが始まります』
「わかった。
情報部、タイミングを間違えないでね」
『ラじゃっす』
本当かな?
相変わらずユルい奴らだ。
「突入部隊、注意事項を確認しておく。
第一に、殺すな。
自死もさせてはならない。
第二に、ブツの確保。
一つも見逃すな。
次に、数名の幹部が命を狙われている。
復讐屋達に仕事をさせるな。
後一つ、全員怪我をするなよ」
『『『了解っ』』』
『D地点バルス部隊、待機位置つきました』
『同じくアクア部隊、待機位置につきました』
『情報部より、作戦Dのカウントダウン始めます。
一分前』
風鸞に乗り、上空から配置の最終確認をする。
いくつもの部隊が、小さなビル一つをきれいに包囲している。
『三十秒前』
『B地点封鎖完了』
『二十秒前』
その時、大きな銀の虎が、こちらに向かい、空中を駈けてきた。
《主よ、東の建物の中と、北側の路地だ》
頷いて、インカムのマイクを塞ぐ。
『十秒前…九…八……』
銀の虎に手を伸ばし、その美しい毛皮を撫でながら、その建物に視線を向ける。
「雷光、北の路地を任せる。
手荒になっても良い、捕らえて」
《承知した》
雷光が空中を蹴って素早く遠ざかっていくのを目の端で確認し、気配を読む。
『一、っ作戦開始ッ』
その声で、一斉にビルへと雪崩れ込んでいく部隊を確認し、風鸞を駆って東にあるビルへと降下した。
「情報部、復讐屋をエリア内で二人確認。
作戦地点から、北に二百メートルの路地と、東側のビル内。
路地の方へは雷光を向かわせた。
東側のビルには私が向かう。
位置確認の後、路地の方には回収班を回して」
『了解しました』
インカムを邪魔にならないように小さくまとめ、手綱をしっかり持つと、不可視の術を強く掛け、ビルの周りを螺旋状に旋回しながら飛ぶ。
《我が主、三階北側に確認しました》
その場所に意識を集中し、確かに気配を確認した。
「うん。
風鸞はこのまま、上空を旋回して待機。
万一の時、突入部隊の方の援護を頼むよ」
《っしかし…》
「心配ないよ」
そう言って、何の躊躇もなく鞍から飛び降りた。