月陰伝(一)
「ッテメェはっ、昼間ッから暴れんなって言ってんダロッッ」
駅前の交番。
被害者の女の人が、転んで怪我をしていたので、彼女と夏樹、雪仁とお邪魔していた。
「夜なら良かったんだ?」
事情を説明したら、物凄い勢いで、なぜか私だけ怒鳴られた。
「良いわけあるかぁぁッッ。
お前とオトモダチはなぁっ、夜は外出禁止に決まってんだッッ」
理不尽。
ちょっと指導しただけじゃん。
『オトモダチ』ってもしかしなくても煉の事だよね?
「まぁまぁ、陸君。
こちらの女性も彼も助かったんだ。
良かったじゃないか」
「力也さんは、甘いっ。
コイツは、ちっさい時からチョロチョロとっ裏町引っ掻き回してたんすよ?
その内、ガキどもがこの顔を見ただけで逃げてく様になるっ。
悪い奴らが揃ってこの辺りから引っ越しちまうっ」
「煩いぞ、良いじゃないか、静かになって」
それまで黙って奥で仕事をしていた結城さんが、眉間に皴を寄せて睨みつけて言った。
「よっ良くない…。
隣町の治安が悪くなるだろう。
バランスが崩れる…」
「くだらん。
巡回に行ってきます」
最初の一言は陸に吐き捨てるように。
後は力也さんに向けて伝え、わざと目を合わせないように外へと出ていった。
「…っお前のせいでまた嫌われただろっ。
どうしてくれるっ」
「相変わらずだね。
あのツンツン君。
名前何て言ったっけ?」
「結城晋吾君だよ。
そろそろ覚えてやってくれ」
「結姉って、どうでも良い奴との態度差ってすごいよなっ。
先ず名前を覚えない」
「おい坊主っそこは感心する所じゃねぇだろッ。
結城は真面目で良い奴だよっ」
「固すぎるんだよ。
ああゆうのをカチ割るの、楽しいよねっ」
「っコエぇ事言ってんじゃねぇよッ。
ヤメろよ?!
俺と違って結城は繊細なんだっあんな事されたら自殺しかねないッッ」
何でそんなに必死になってるんだろ?
今の言い方は誤解を受けるじゃん。
「私、リナちゃんにそんな酷いことしたっけ?」
「しただろッッ。
軽くトラウマだッ。
ってかリナちゃんって呼ぶなッッ」
「ははっ、何で『リナちゃん』なんだい?」
それまでクスクスと陰で笑っていた雪仁が、楽しそうに聞いてきた。
「リク・ナイトだから、頭のを取って『リ・ナちゃん』なんですよ。
可愛いでしょう?」
「…っ…もうマジ、お前帰れ…」
「はいはい。
あの子達の事はよろしくね」
「わかった、わかった。
ってかどんなけ痛めつけたんだ?」
「一発ずつだよ?
十分手加減したって。
まぁ、しばらく動けないだろうけど、今の季節なら凍死する程寒くないし、干からびる程暑くないから大丈夫だよ」
「…それは…しばらくじゃねぇな…まぁ、結城が見に行っただろ。
もう少しして来なかったら、俺も見てくる。
さっさと帰れ」
「はぁ〜い。
じゃぁ…お姉さん、家まで送ってってあげる。
足大丈夫?」
「ええ。
でも悪いわ…」
「送って行って貰ってください。
コイツなら、虫除けになるんで」
「虫除けかぁ。
お姉さんキレイだから、必要かもね。
嫌な奴がいたら教えて。
返り討ちにしてあげるよ」
「ふふっ頼もしいわね」
駅前の交番。
被害者の女の人が、転んで怪我をしていたので、彼女と夏樹、雪仁とお邪魔していた。
「夜なら良かったんだ?」
事情を説明したら、物凄い勢いで、なぜか私だけ怒鳴られた。
「良いわけあるかぁぁッッ。
お前とオトモダチはなぁっ、夜は外出禁止に決まってんだッッ」
理不尽。
ちょっと指導しただけじゃん。
『オトモダチ』ってもしかしなくても煉の事だよね?
「まぁまぁ、陸君。
こちらの女性も彼も助かったんだ。
良かったじゃないか」
「力也さんは、甘いっ。
コイツは、ちっさい時からチョロチョロとっ裏町引っ掻き回してたんすよ?
その内、ガキどもがこの顔を見ただけで逃げてく様になるっ。
悪い奴らが揃ってこの辺りから引っ越しちまうっ」
「煩いぞ、良いじゃないか、静かになって」
それまで黙って奥で仕事をしていた結城さんが、眉間に皴を寄せて睨みつけて言った。
「よっ良くない…。
隣町の治安が悪くなるだろう。
バランスが崩れる…」
「くだらん。
巡回に行ってきます」
最初の一言は陸に吐き捨てるように。
後は力也さんに向けて伝え、わざと目を合わせないように外へと出ていった。
「…っお前のせいでまた嫌われただろっ。
どうしてくれるっ」
「相変わらずだね。
あのツンツン君。
名前何て言ったっけ?」
「結城晋吾君だよ。
そろそろ覚えてやってくれ」
「結姉って、どうでも良い奴との態度差ってすごいよなっ。
先ず名前を覚えない」
「おい坊主っそこは感心する所じゃねぇだろッ。
結城は真面目で良い奴だよっ」
「固すぎるんだよ。
ああゆうのをカチ割るの、楽しいよねっ」
「っコエぇ事言ってんじゃねぇよッ。
ヤメろよ?!
俺と違って結城は繊細なんだっあんな事されたら自殺しかねないッッ」
何でそんなに必死になってるんだろ?
今の言い方は誤解を受けるじゃん。
「私、リナちゃんにそんな酷いことしたっけ?」
「しただろッッ。
軽くトラウマだッ。
ってかリナちゃんって呼ぶなッッ」
「ははっ、何で『リナちゃん』なんだい?」
それまでクスクスと陰で笑っていた雪仁が、楽しそうに聞いてきた。
「リク・ナイトだから、頭のを取って『リ・ナちゃん』なんですよ。
可愛いでしょう?」
「…っ…もうマジ、お前帰れ…」
「はいはい。
あの子達の事はよろしくね」
「わかった、わかった。
ってかどんなけ痛めつけたんだ?」
「一発ずつだよ?
十分手加減したって。
まぁ、しばらく動けないだろうけど、今の季節なら凍死する程寒くないし、干からびる程暑くないから大丈夫だよ」
「…それは…しばらくじゃねぇな…まぁ、結城が見に行っただろ。
もう少しして来なかったら、俺も見てくる。
さっさと帰れ」
「はぁ〜い。
じゃぁ…お姉さん、家まで送ってってあげる。
足大丈夫?」
「ええ。
でも悪いわ…」
「送って行って貰ってください。
コイツなら、虫除けになるんで」
「虫除けかぁ。
お姉さんキレイだから、必要かもね。
嫌な奴がいたら教えて。
返り討ちにしてあげるよ」
「ふふっ頼もしいわね」