月陰伝(一)
『久しぶりだな。
紫藤の小倅。
何の用だ?』
煉夜の態度のでかさは、紫藤相手でも健在だ。
『相変わらずだね、御影のお姫様。
たまたま仕事で近くを通りかかったら、僕の結華の気配を感じてね。
この前しそびれた、デートのお誘いでもしようかと思ったんだよ』
見る価値ないかも…。
消そうかと思っていれば、全員の視線がまた集まってきた。
「なに…?」
「おねぇちゃん、新堂奏司と付き合ってるの!?」
「結姉、あぁゆうのが良いのか?」
「結ちゃん…う〜ん…並ぶとすごいかもね」
「っ結、よりにもよって復讐屋はまずいだろっ」
「ねぇさまぁ、あんなにぃさまはいやですっ」
みんなして勝手な事をっ…。
『悪いが、貴様に結は渡さん。
どうしても欲しいならば、マリュヒャ様を始め、月陰の幹部全員に許可をもらってくるんだな』
コイツも勝手な事をっ…!
『っふははっ、それは難しそうだ。
まぁ、気長にいくよ。
それはそうと、言い忘れた事があってね。
先日の仕事の報酬と、情報料もかなり貰ってしまったから、追加情報を』
『何だ?』
『おかしな存在が、今この国にいるのは知っているかな?
吸血鬼みたいな女でね。
土地は枯らすし、近付いた男の生気も喰らうんだけど?』
神族…。
『あぁ、気付いている…』
煉夜も思い当たったようだ。
『元はその女が、あの薬の精製法を教えたらしい。
その他にも、色々と厄介な物を方々へ流しているみたいなんだ』
そう言った紫藤が、不意にこちらを見上げた。
「気付かれた…っ」
《ほぅ…人間にしては確かに出来が違うようだな…》
《うぅ〜こっちにきづくなんてっ!》
紫藤は、こちらに美しい笑みを向ける。
『それだけか?』
不機嫌そうに言いはなつ煉夜に、改めて向き直った紫藤は、更に続けた。
『厄介なその女の、今の恋人の名前は、神城晴海。
君達の所に身内がいるよね?
後、僕の結華の母親が再婚した家の息子だよね?
気を付けた方が良い。
その女の今までの恋人は全員、干からびて消えてしまっているから』
「「「「「っ…?!」」」」」
とんでもない話を聞いてしまった。
目を見開いて固まってしまった神城兄弟は、ゆっくりとそれぞれの顔を見合わせた。
「?心当たりがあるの?」
それに答えたのは刹那だった。
「っああ…確かに、最近彼女が出来たみたいでさ…。
それに、ここの所、顔色が悪かった…」
「っ晴兄、干からびて死んじまうのか!?」
その疑問に、黒狼が口を開いた。
《確かに、堕ちた神ならば、自身の存在を維持する為に、人の生気を吸収する。
長く近くにいる者は、知らぬ間に弱り、死ぬ事もある》
「マジっ!?」
《しかし、生きる為だけならば、そう多くを必要とはしない。
死に至るまで多量に必要としたと言う事は、神力を…神術を使ったのだろう》
紫藤の小倅。
何の用だ?』
煉夜の態度のでかさは、紫藤相手でも健在だ。
『相変わらずだね、御影のお姫様。
たまたま仕事で近くを通りかかったら、僕の結華の気配を感じてね。
この前しそびれた、デートのお誘いでもしようかと思ったんだよ』
見る価値ないかも…。
消そうかと思っていれば、全員の視線がまた集まってきた。
「なに…?」
「おねぇちゃん、新堂奏司と付き合ってるの!?」
「結姉、あぁゆうのが良いのか?」
「結ちゃん…う〜ん…並ぶとすごいかもね」
「っ結、よりにもよって復讐屋はまずいだろっ」
「ねぇさまぁ、あんなにぃさまはいやですっ」
みんなして勝手な事をっ…。
『悪いが、貴様に結は渡さん。
どうしても欲しいならば、マリュヒャ様を始め、月陰の幹部全員に許可をもらってくるんだな』
コイツも勝手な事をっ…!
『っふははっ、それは難しそうだ。
まぁ、気長にいくよ。
それはそうと、言い忘れた事があってね。
先日の仕事の報酬と、情報料もかなり貰ってしまったから、追加情報を』
『何だ?』
『おかしな存在が、今この国にいるのは知っているかな?
吸血鬼みたいな女でね。
土地は枯らすし、近付いた男の生気も喰らうんだけど?』
神族…。
『あぁ、気付いている…』
煉夜も思い当たったようだ。
『元はその女が、あの薬の精製法を教えたらしい。
その他にも、色々と厄介な物を方々へ流しているみたいなんだ』
そう言った紫藤が、不意にこちらを見上げた。
「気付かれた…っ」
《ほぅ…人間にしては確かに出来が違うようだな…》
《うぅ〜こっちにきづくなんてっ!》
紫藤は、こちらに美しい笑みを向ける。
『それだけか?』
不機嫌そうに言いはなつ煉夜に、改めて向き直った紫藤は、更に続けた。
『厄介なその女の、今の恋人の名前は、神城晴海。
君達の所に身内がいるよね?
後、僕の結華の母親が再婚した家の息子だよね?
気を付けた方が良い。
その女の今までの恋人は全員、干からびて消えてしまっているから』
「「「「「っ…?!」」」」」
とんでもない話を聞いてしまった。
目を見開いて固まってしまった神城兄弟は、ゆっくりとそれぞれの顔を見合わせた。
「?心当たりがあるの?」
それに答えたのは刹那だった。
「っああ…確かに、最近彼女が出来たみたいでさ…。
それに、ここの所、顔色が悪かった…」
「っ晴兄、干からびて死んじまうのか!?」
その疑問に、黒狼が口を開いた。
《確かに、堕ちた神ならば、自身の存在を維持する為に、人の生気を吸収する。
長く近くにいる者は、知らぬ間に弱り、死ぬ事もある》
「マジっ!?」
《しかし、生きる為だけならば、そう多くを必要とはしない。
死に至るまで多量に必要としたと言う事は、神力を…神術を使ったのだろう》