月陰伝(一)
ちゃんと休ませてから帰すようにと厳命されたらしい寮監に佐紀と二人、案内されたのは、よく見知った部屋だった。
「結華様が以前、お使いになられていたお部屋をあけてございますので、そちらへどうぞ」
そう言われて部屋に入ると、以前と変わらない状態で嬉しくなる。
佐紀に、部屋が用意できるまで、一緒にお茶でもしていてくれといわれ、寮専属のメイドがお茶を淹れて出ていった。
「ちょっとハードだったね。
今日はちゃんと休んでよ?」
「結もな」
「うん。
私は少し執務室に寄って、今日分の報告書を少し読んだ後で…」
「駄目だ」
「ん?」
「キリがつくまでと言って、そのまま他の仕事に移るに決まっている」
「…そんな事は…」
確かに…やりかねない…?
手に取って、気になってしまったら、そのまま仕事モードに入ってしまうだろうけど…。
「寝室は?」
「ん?
そっち」
「寝るまでここにいる」
「っそんなに信用ない???」
「ない。
これに関しては絶対に」
「う〜ん…」
コンコン。
自問していれば、ドアをノックする音が響いた。
「どうぞ?」
顔を覗かせたのは、メイド長だった。
「結華様。
瀬能様はこちらで?
失礼いたします。
瀬能様のお部屋を用意するように言いつかったのですが、他の方で埋まってしまって…」
「なら、帰ります。
お気遣いありがとう」
「っいえっ。
いけませんっ」
「???」
「憂李様とサジェス様からの伝言をお預かりしておりますっ。
お伝えします。
『婚約者と一緒のお布団で寝なさい』以上ですっ」
「「………」」
何を言われた?
「では、お伝えしました。
ごゆっくりお休みくださいませ」
良い笑顔だな…おい…?
えっと?
「佐紀…?」
固まってる?
完全にフリーズ?
…うん…仕方ない。
とりあえず寝室を確認しよう。
寝室には、ダブルベットもとい、大人四人が余裕で寝転べそうなキングサイズのベットが一つ。
うん、問題ないね。
「佐紀…っ?
何でソファーで寝ようとしてんの?」
「っいや…おっ俺は、ここで充分だからっ…」
「馬鹿。
大丈夫だよ。
風邪ひいたらどうするの。
ちゃんと布団で寝よう」
「っっっ…だがっ」
「律儀なのは分かったから、とりあえずこっちに来て。
キングサイズのベットだし、気になるんなら、端の方で寝れば、手も届かないよ?」
頑なな佐紀を、強引に寝室に引っ張っていく。
「…っ…何でこのサイズなんだ…?」
「この部屋だけじゃなくて、寮のベッドは全部このサイズだよ?
佐紀は知らないんだっけ。
月陰に預かってる子ども達が寂しがったら、一緒に寝られるし、本当に大きい人もいるしね。
小さいより良いでしょ?」
「…なるほど…」
「何時に起きる?
さすがにちゃんと休まないと次に差し支えるよね?
六時くらいで良い?」
「ああ…」
「じゃぁ、寝よう」
「っ…ゆっ結っ脱ぐならっ…」
「ん?
多少薄着にならないと寝苦しいじゃん?
佐紀も、上着脱ぎなよ。
シャツは、シワになっても替えがあるから大丈夫だから」
「っ…わかった…」
「結華様が以前、お使いになられていたお部屋をあけてございますので、そちらへどうぞ」
そう言われて部屋に入ると、以前と変わらない状態で嬉しくなる。
佐紀に、部屋が用意できるまで、一緒にお茶でもしていてくれといわれ、寮専属のメイドがお茶を淹れて出ていった。
「ちょっとハードだったね。
今日はちゃんと休んでよ?」
「結もな」
「うん。
私は少し執務室に寄って、今日分の報告書を少し読んだ後で…」
「駄目だ」
「ん?」
「キリがつくまでと言って、そのまま他の仕事に移るに決まっている」
「…そんな事は…」
確かに…やりかねない…?
手に取って、気になってしまったら、そのまま仕事モードに入ってしまうだろうけど…。
「寝室は?」
「ん?
そっち」
「寝るまでここにいる」
「っそんなに信用ない???」
「ない。
これに関しては絶対に」
「う〜ん…」
コンコン。
自問していれば、ドアをノックする音が響いた。
「どうぞ?」
顔を覗かせたのは、メイド長だった。
「結華様。
瀬能様はこちらで?
失礼いたします。
瀬能様のお部屋を用意するように言いつかったのですが、他の方で埋まってしまって…」
「なら、帰ります。
お気遣いありがとう」
「っいえっ。
いけませんっ」
「???」
「憂李様とサジェス様からの伝言をお預かりしておりますっ。
お伝えします。
『婚約者と一緒のお布団で寝なさい』以上ですっ」
「「………」」
何を言われた?
「では、お伝えしました。
ごゆっくりお休みくださいませ」
良い笑顔だな…おい…?
えっと?
「佐紀…?」
固まってる?
完全にフリーズ?
…うん…仕方ない。
とりあえず寝室を確認しよう。
寝室には、ダブルベットもとい、大人四人が余裕で寝転べそうなキングサイズのベットが一つ。
うん、問題ないね。
「佐紀…っ?
何でソファーで寝ようとしてんの?」
「っいや…おっ俺は、ここで充分だからっ…」
「馬鹿。
大丈夫だよ。
風邪ひいたらどうするの。
ちゃんと布団で寝よう」
「っっっ…だがっ」
「律儀なのは分かったから、とりあえずこっちに来て。
キングサイズのベットだし、気になるんなら、端の方で寝れば、手も届かないよ?」
頑なな佐紀を、強引に寝室に引っ張っていく。
「…っ…何でこのサイズなんだ…?」
「この部屋だけじゃなくて、寮のベッドは全部このサイズだよ?
佐紀は知らないんだっけ。
月陰に預かってる子ども達が寂しがったら、一緒に寝られるし、本当に大きい人もいるしね。
小さいより良いでしょ?」
「…なるほど…」
「何時に起きる?
さすがにちゃんと休まないと次に差し支えるよね?
六時くらいで良い?」
「ああ…」
「じゃぁ、寝よう」
「っ…ゆっ結っ脱ぐならっ…」
「ん?
多少薄着にならないと寝苦しいじゃん?
佐紀も、上着脱ぎなよ。
シャツは、シワになっても替えがあるから大丈夫だから」
「っ…わかった…」