月陰伝(一)
神城の家は、さすがは社長宅と言えるようなものだった。
「それで?
あの母親には、何と言ってあるんだ?」
煉夜が美輝と夏樹に問いかける。
「お父さんに、全部話したんです。
お父さんは、”月陰会”の事をちゃんと知ってたみたいで…。
お母さんが、変な所に出入りしてるって事も、晴海お兄さんの状態は、お付き合いしてる彼女が原因だって事も話しました。
そうしたら、すぐにお母さんも呼んで話したんです。
だから、今日は仲直りも含めて、もう少し詳しく話を聞きたいって感じで……」
「何だ?
歯切れが悪いな?
結の事で、何かまずったのか?」
まずったって…。
でも、分かってもらえて良かった。
神城は昔から、シャドーと取り引きがある。
人でない者の存在も、知っていたはずだ。
「…オヤジ、スッゲェ喜んでたんだ…」
「何を?」
「…おねぇちゃんが、魔法を使える人だって事を話したら、すぐに会いたいって……それと、刹那お兄さんも…っおねぇちゃん、刹那お兄さんも魔法使える人だって、何で教えてくれなかったの?
それで今……」
「何だ?
刹那のやつ、まだ能力の事、秘密にしてたのか?」
「煉……それで?
刹那はどうしたの?」
煉夜を諫め、続きを促すように美輝と夏樹を見ると、言いにくそうに夏樹が答えた。
「…オヤジが、刹兄の……使い魔?を気に入っちゃって……刹兄が……」
うん。
何となく分かったよ。
迎えに来ると言っていた刹那が来なかったのは、そのせいだね…。
「だから、お母さんも、もう大丈夫だと思うよ。
一緒になって騒いでるから」
玄関に近付くと、賑やかな声が聞こえた。
「ただいまぁ」
美輝がドアを開けると、ドタドタと足音が響いた。
そして、真っ先に小さな妖精が飛び込んできた。
《紅の姫ぇ〜》
「っシャルっ」
飛び付いてきたシャルルを包むように引き剥がし、苦笑する。
「こらっ、外に出たら危ないでしょう?
この前みたいに、ネコに食べられるよ?」
《っうっ…思い出させないでぇっ…》
そのまま、皆で中へと入る。
すると、目の前に男性が嬉しそうに立って待ち構えていた。
「っ何て素敵な娘さんだろうっ。
え〜っと……あっ君が結華ちゃんだろっ?」
「スゴいお父さんっ何で分かったの?」
「っ正解かいっ?」
「当てずっぽうかよ…」
「いやいや、そちらのお嬢さんはぁ…そのぉ…父さんの苦手な女性に似てたから……」
「煉夜様が?」
ああ、社長だもんね。
「母上の事だな。
苦手とは、よい目をお持ちだ。
あれの真の姿は、中々見えないからな。
ご挨拶が遅れた。
結華の親友の御影煉夜だ。
よろしく」
「こちらこそ。
面白いしゃべり方だね。
お母さんとは大分違うみたいだ」
はっきりと煉夜の話し方について言及した人は、初めてだ。
それもあってか、煉夜は気に入ったようだ。
「ジジィ…祖父と常に一緒に居たのでな。
こうなった。
普通に社交的な感じにも出来るが、この方が楽なのだ」
「そうかい。
いやいや、そのままで構わないよ。
はっきり話される方が好きだ。
日頃、腹の探り合いをしているとね、変に勘繰る癖がついてしまってね」
「ふむ。
ご苦労されているようだな。
今度、母上の攻略法でもお話しよう」
「っそれは是非っ」
何だか変な具合に盛り上がってしまった。
「それで?
あの母親には、何と言ってあるんだ?」
煉夜が美輝と夏樹に問いかける。
「お父さんに、全部話したんです。
お父さんは、”月陰会”の事をちゃんと知ってたみたいで…。
お母さんが、変な所に出入りしてるって事も、晴海お兄さんの状態は、お付き合いしてる彼女が原因だって事も話しました。
そうしたら、すぐにお母さんも呼んで話したんです。
だから、今日は仲直りも含めて、もう少し詳しく話を聞きたいって感じで……」
「何だ?
歯切れが悪いな?
結の事で、何かまずったのか?」
まずったって…。
でも、分かってもらえて良かった。
神城は昔から、シャドーと取り引きがある。
人でない者の存在も、知っていたはずだ。
「…オヤジ、スッゲェ喜んでたんだ…」
「何を?」
「…おねぇちゃんが、魔法を使える人だって事を話したら、すぐに会いたいって……それと、刹那お兄さんも…っおねぇちゃん、刹那お兄さんも魔法使える人だって、何で教えてくれなかったの?
それで今……」
「何だ?
刹那のやつ、まだ能力の事、秘密にしてたのか?」
「煉……それで?
刹那はどうしたの?」
煉夜を諫め、続きを促すように美輝と夏樹を見ると、言いにくそうに夏樹が答えた。
「…オヤジが、刹兄の……使い魔?を気に入っちゃって……刹兄が……」
うん。
何となく分かったよ。
迎えに来ると言っていた刹那が来なかったのは、そのせいだね…。
「だから、お母さんも、もう大丈夫だと思うよ。
一緒になって騒いでるから」
玄関に近付くと、賑やかな声が聞こえた。
「ただいまぁ」
美輝がドアを開けると、ドタドタと足音が響いた。
そして、真っ先に小さな妖精が飛び込んできた。
《紅の姫ぇ〜》
「っシャルっ」
飛び付いてきたシャルルを包むように引き剥がし、苦笑する。
「こらっ、外に出たら危ないでしょう?
この前みたいに、ネコに食べられるよ?」
《っうっ…思い出させないでぇっ…》
そのまま、皆で中へと入る。
すると、目の前に男性が嬉しそうに立って待ち構えていた。
「っ何て素敵な娘さんだろうっ。
え〜っと……あっ君が結華ちゃんだろっ?」
「スゴいお父さんっ何で分かったの?」
「っ正解かいっ?」
「当てずっぽうかよ…」
「いやいや、そちらのお嬢さんはぁ…そのぉ…父さんの苦手な女性に似てたから……」
「煉夜様が?」
ああ、社長だもんね。
「母上の事だな。
苦手とは、よい目をお持ちだ。
あれの真の姿は、中々見えないからな。
ご挨拶が遅れた。
結華の親友の御影煉夜だ。
よろしく」
「こちらこそ。
面白いしゃべり方だね。
お母さんとは大分違うみたいだ」
はっきりと煉夜の話し方について言及した人は、初めてだ。
それもあってか、煉夜は気に入ったようだ。
「ジジィ…祖父と常に一緒に居たのでな。
こうなった。
普通に社交的な感じにも出来るが、この方が楽なのだ」
「そうかい。
いやいや、そのままで構わないよ。
はっきり話される方が好きだ。
日頃、腹の探り合いをしているとね、変に勘繰る癖がついてしまってね」
「ふむ。
ご苦労されているようだな。
今度、母上の攻略法でもお話しよう」
「っそれは是非っ」
何だか変な具合に盛り上がってしまった。