”愛を知らないキミへ”
…「大丈夫? ケガしてない?」
「あ、はい。 なんとか。
本当にごめんなさい」
私が再び眉を下げれば、
彼は小さく笑みを浮かべた。
次の時間は生物だ。
先生、怒ってるのかな。
葵は心配してくれてるのかな。
そんな事を思いながら、
二人で地面に散らばったプリントを集める。
…この時点で、遅刻は確実。
私が怒られるのは別に良いとして、
なぜ、彼はこんなにも
のんびりとしているのだろうか。
怒られるのを好む人なんて、ありえないはず。
…もしかして、サボり魔?
ふいに、そんな考えが脳裏に過ぎった。
だって入学式の時も、普通に校庭を歩いていたもん。
…てことは、結構なワル? 不良? ボス?
そんな馬鹿な事を考えては、私は顔を青ざめていた。