”愛を知らないキミへ”
・・・今日は、入学式だ。
窓から外を覗けば川沿いの大きな木から、
桜の花びらがひらひらと舞い散っていた。
「 美桜、もう家出るから、
準備済ませちゃってね。 」
部屋の外から、お母さんの声が聞こえ、
私は慌てて制服に着替えた。
ブレザーの制服は慣れていない。
恥ずかしながらネクタイすら結べなくて、
お母さんに結んでもらった。
「 今日帰ってきたら、
教えてあげるわ。 」
そう言って優しく微笑んでくれたお母さんに、
私は心から感謝している。