”愛を知らないキミへ”
「 皆さん、ご入学おめでとうございます。
この、1年A組を担当する、清水俊彦です。」
階段からほど近い教室内に、男性らしい低い声が響き渡る。
淡々と喋る先生の声は、うまく頭に入らなくて、
ぽーっと外を眺めていた。
春の温かい風が、私の頬を優しく撫でる。
・・・それにしても、広い校庭。
中学校の校庭の倍はあるんじゃないかと思う。
走ったら気持ち良さそう。
眩しい太陽に照らされる校庭を、目を細めてみていると。
「 ・・・あ。 」
誰かと目が合ってしまった。
ここは2階。
案外高くないから、顔がしっかりと見えてしまう。
・・・外したいはずなのに、外せない視線。
・・・それは
あまりにも彼が綺麗だったから。