”愛を知らないキミへ”
「 もー 早く行くよっ!!
あと5分もないよー!! 別校舎なのに!! 」
「 嘘-!! ダッシュだダッシュ!! 」
教科書を腕に抱え、人と人との間を器用に通り抜ける葵に必死な思いでついていく。
「 葵ー…!! 待ってよー!! 」
体力のない私に、走り続けるなんて無謀すぎて・・・
力尽きた頃、私は誰かと思いっ切りぶつかってしまった。
「 ……きゃっ…!! 」
ぶつかった反動で、ドンっと尻もちをついてしまった。
「 ……いた… 」
「 ……大丈夫? 」
「 あ。はい。ごめんなさ……… 」
あ。・・・・・・知ってる。
この瞳。
・・・ずっと見たかったんだもん。