天使な小悪魔 気付いたが最後の恋の罠


 お仕置きってなんだろう……。

 ごくん、と思わず生唾を飲み込んだ。


 今までは不意打ちのキスかハグがそれだったけれど、それらはまだ仕置きのうちにはいるのか。


 なんだかいろいろ考えて、朝から悶々してしまう…………!



 不敵な口角に、恐怖よりも好奇心が勝って、朝っぱらから不健全にも興奮してしまう。


 いかんいかん……お天道様の下でこんなことは。



「…………おまえ、何やらしいこと考えてんだよ朝っぱらから!」


「うわっ、たっ、滝!!」


 出し抜けに声がして振り返ると、滝が冷ややかな顔でこちらを見ていた。


 蔑視に近いくらいの遠い眼差しにうろたえるも、強いて平静を装って、


「お、おまえこそ朝っぱらから人に向かって何てこと言うんだよ、失礼だな!」


 非難したが、滝の眼差しは依然として険しい。


 またぞろ、今度は別の意味で、和也は唾を飲み込んだ。



 一拍の沈黙の後、滝がハッとしたように目を開けた。


「ま、まさかおまえ、とうとう年増女に押し倒されたんじゃ………!!」

「ばっ、バっカじゃないのか! おまえこそその25禁みたいな頭の構造をどうにかしろアホっ!!」



 待てイノ、話はまだ終わってない!

 ものすごい形相で追いかけてくる滝から和也は逃げる。


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