天使な小悪魔 気付いたが最後の恋の罠

「きゃーっ!!」


 思わず女子のような奇声を上げて、身体を突き放そうと手を伸ばしたのもむなしく、
 ボクサーさながらに俊敏な動作でもって橘は和也の攻撃を逃れると、軽やかに彼のアゴを掴んで、ぶちゅっと彼の唇を奪った。

 放心する和也に構わず橘は萎えたその身をぎゅーっと抱きしめ、お気に入りのクマさんを愛しむ感覚で、満足そうに腕を揺らす。

 む、胸、胸、胸があたっとるがなーっ!!!

 夢見心地のようなその感触に、和也は逆に正気づく。

 和也は自身の力を総動員して抗戦し、自己本位の悪魔娘からやっとのことで脱出した。


「こっ、この最低女っ!」


 涙声になりながらも勢いに任せて毒づいた。


 が、しかし―――。

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