天使な小悪魔 気付いたが最後の恋の罠
2、無駄な抵抗はおよしなさい

 悪魔の仮面を被った天使との、飽くなき攻防戦がはじまった。


 あの告白騒動以来、和也は、橘が笹原に近づこうとすることごとくを阻止すべく奔走している。

 片時も目を離さず、移動も常に一緒。一瞬も油断ならない。

 そして今もそう―――


「イノ、おまえさっきから誰か探してんの?」


 警戒してあたりを見回す不審な友を、訝しげに笹原は問いかける。


「い、いや、そうじゃないけど」

「じゃあ何かいるとか?」

「な、何かって?」

「怪異的な?」


 そんな能力ねぇよ! と言い返そうとして、とっさに、いや、それも有りだな、と閃(ひらめ)く。


「じ、実はな……」と和也はそれっぽく声を低めた。

「えーっ、マジかよ! おまえいつそんな力に目覚めたんだよ」


 周りの連中も集まってきて、ちょっとした騒ぎとなる。

 和也も調子に乗って、ちょっと病んだような顔をして見せたりした。


「こないだ、いきなり金縛りに遭ってからなんだよな……なんかほら、あそことか……」

「しぇーッ!!!」


 なんともノリのいい連中で助かる。

< 23 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop