天使な小悪魔 気付いたが最後の恋の罠
2、無駄な抵抗はおよしなさい
悪魔の仮面を被った天使との、飽くなき攻防戦がはじまった。
あの告白騒動以来、和也は、橘が笹原に近づこうとすることごとくを阻止すべく奔走している。
片時も目を離さず、移動も常に一緒。一瞬も油断ならない。
そして今もそう―――
「イノ、おまえさっきから誰か探してんの?」
警戒してあたりを見回す不審な友を、訝しげに笹原は問いかける。
「い、いや、そうじゃないけど」
「じゃあ何かいるとか?」
「な、何かって?」
「怪異的な?」
そんな能力ねぇよ! と言い返そうとして、とっさに、いや、それも有りだな、と閃(ひらめ)く。
「じ、実はな……」と和也はそれっぽく声を低めた。
「えーっ、マジかよ! おまえいつそんな力に目覚めたんだよ」
周りの連中も集まってきて、ちょっとした騒ぎとなる。
和也も調子に乗って、ちょっと病んだような顔をして見せたりした。
「こないだ、いきなり金縛りに遭ってからなんだよな……なんかほら、あそことか……」
「しぇーッ!!!」
なんともノリのいい連中で助かる。