天使な小悪魔 気付いたが最後の恋の罠
2-2
「浮かない顔してどうしたよ。具合悪いなら無理して付き合ってくれなくても平気なのに」
「そ、それはダメだ。どうあってもそれだけはダメ!」
切迫した表情で言い切られ、笹原は困惑の色を隠せない。
「それとも、お、俺が一緒だと迷惑か。いやなのか! 不愉快だったりする!?」
「……い、いや、そういうことはないけど……いや、つか、今の言い方はちょっと……うん、何か、別の意味にも取れるから若干引きかけてるけど、まあ……平気……?」
「な、ならいいだろ! お、俺はおまえと一緒にいたいんだよっ」
行くぞ! と、全身を粟立たせる笹原を無理にも引っぱって、二人がやってきたのは学校で使う諸々の備品がまとめて収納されている倉庫だった。
暗い色のカーテンが、窓から差し込むすべての陽射しを遮断して薄暗い。そして、埃っぽい。
天井まであるアルミの棚が等間隔に立ち並び、分類を指示する手書きのメモがそれぞれに張ってある。
収納されている備品はといえば、それぞれ大雑把な場所が決められてはいるものの、ほとんど無秩序に積み上げられていて、いずれの棚も一様にあやうい。
方眼紙なら棚に入れても幅を取るからきっと足元に積んであるはず、と見当を付けて、和也は勝手に分担を決めた。
「俺は方眼紙を探すから、笹原はペンな! ペンだぞ!」