天使な小悪魔 気付いたが最後の恋の罠

 そんな彼女のことが好きだと言う男がいる。

 それが先の情けない声の主、笹原(ささはら)だ。

 もしかしたらそうじゃないかと、内々ではすでにずいぶん前から噂になっていた。

 が、どうにも奥手で、見ているこっちがいじらしく、こうなればいっそ俺たちが! と思いついたのが、絶対に笹原が負けるゲームの考案だった。

 それも、負けたヤツは好きな女に告白するという、最悪のルール付き。

 果たして首尾どおり笹原はボロ負け、泣く泣く想い人を打ち明けると、待ってましたとばかりに悪友一同は立ち上がった。

 当初、本人が直接告げるというのがルールだったはずだが、気の毒なことに男子という生き物は、元来、そんな約束は口先だけと決まっている。


「笹原が橘のこと、好きなんだってよ!」

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