天使な小悪魔 気付いたが最後の恋の罠
4-3
なんとか友人たちに解放されて―――というか、あのあとすぐ教師に見つかって連れ戻されただけだが……―――それも終わり、自由に動けるようになったときにはもう、やはり、橘は学校を出た後だった。
バカだったとしか言いようがない。
……このところ、どうして自分はこんなにもバカなのだろうと思い知らされることしばしばで、そろそろちょっと心が折れそうです。
橘の見せた悲愴な顔。
責める眼差し。
それらはあのときの表情とぴったり重なる……。
胸に突き刺さる罪悪感もそう。
たちまち和也の自由を奪う、あの鋭い感覚は忘れようがない。
もしも、長年秘めてきた片思いに決着を付けようと、彼女の心に火をつけたのがあの告白だったのだとしたら―――
彼女を突き動かすきっかけだったのだとしたら―――……
あの瞬間、彼女が受けたのは紛れもない悲しみ。
そこから派生した和也を射貫くような凄まじい威力を、素人が虚偽でどこまでそれらしく表現できるだろう。
演技、じゃない―――。
和也は、今さらながら直感した。
橘が見せた、剥き出しの悲哀。