星月夜のマーメイド


光輝はバイトの面接を落とされた。


「今どきの若い奴は、何の連絡もなく平気で遅刻か!そんな若造は信用できないんでね。」


そう店長は言い放った。


まぁ最もだ。


面接の時間を10分もオーバーしていたわけで。


しかも慌てて駅前まで自転車を漕ごうとするも、雲の上を飛んでいるようなフワフワとした感覚になっていたのだから。


ボーっとすんじゃねぇって怒られても仕方がない。


でもあんなことがなければ、店長の嫌味に無性に腹を立てただろうし、ましてや遅刻なんてしなかっただろう。




あんな所で偶然会わなければ…。




あれから速攻家に戻り借りた本を読んだ。


返却期間2週間を待たずして、翌日学校帰りに返却しに図書館へ行った。


受付にはおばさんらしき人と、男性が座っていた。


「返却お願いします。」


返却を終えて館内をぐるりと回るが、やはり彼女はいなかった。


(彼女休みかな…って俺、何捜してんだ?)


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