星月夜のマーメイド
「昨日までバイトで来ていた目黒君に変わり、今日から相田君が1年間来てくれることになりました。」
区役所の課長が朝から図書館に来て、皆に光輝を紹介してくれた。
「今日からお世話になります、明応大学1年の相田光輝です。
学生なので平日は3時頃からになりますが、宜しくお願いします。」
「よろしく、光輝君。」
「中島さん、色々相田君に教えてあげてね。」
課長が中島に光輝の教育係を頼んだ。
この図書館には公務員の中島と、他に田端・倉重という名前の50歳代くらいの女性がいた。
男性はというと、たまに区役所の課長が顔を出す程度らしい。
そうなると確かに若い男性の力は必要そうだ。
バイトは彼女の他に大学生の渡辺という女の子がいた。
中島はメンバーの中でもこの館に長く、かなりの重鎮って感じに見える。
(見た目もだろうけど…。)
「光輝君、早速流れを説明するわね…って、光輝君!」
いつの間にかマーメイドを目で追っていたため、中島に注意されてしまった。
「光輝君、若いんだからシャキッとしなさい!」
それから午前中は中島にビシバシしごかれた?からか疲れがドッと出た。
(やっと休憩か…図書館って案外きついな。)
図書館に隣接する公園のベンチに腰かけて缶コーヒーをぐびっと飲んでホッとしていると、光輝の背後で、可愛らしい声がした。
「お疲れ様です。」