星月夜のマーメイド
中島からまさかの事実を告げられ、自分の気持ちを既に誤魔化しきれなくて、呆然と立ち尽くしてしまった。
「あら、図星だった?ごめんねー。」
アハハと笑いながら去る中島に、本気でど突きたくなる光輝だった。
その後もすぐには動けず、自分が突っ立っていたことに気が付くと、慌てて一階にかけ下りた。
取りあえず気持ちを落ち着かせようとするも、あまりの衝撃で体が付いていかない。
心臓もバクバクしている。
そんな時だった。
それに気がついたのは。
ちらっと見たエレンの左薬指に、シルバーの指輪が光っていたのだ。
猛烈にがっかりして頭を垂れた。
(くそっ、中島さんの話は本当だったのかよ。)
何故今まで気がつかなかったのだろう。
それとも最近指輪をし始めたのだろうか?
(もしかして最近結婚した?)
いや、そんな事言ってなかった…。
「これはまた勉強に熱中するべし!の案件だな。」
こんな時に限って史也から電話が鳴る。
事の真相を伝えるとそう言った。
そして電話を切るときに史也はつぶやいた。
「俺、お前が知ってるものだと思ってた。俺が見た時もしてたぜ、指輪。」