星月夜のマーメイド


そんな時だった。


休日何となく気になって図書館に寄ると、隣にある公園のベンチにエレンが腰掛けていた。


どこか上の空のようで、一点を見つめてボーッとしていた。



「こんな所で何してるんですか?」


「あ、光輝君。あれ?今日バイトにいた?」


「今日は休みだよ~。前もあったよね、それ。俺って影薄いな。」


そんな他愛もない話が、凄く楽しかったし癒された。


でもエレンは違うようだ。


笑顔なのに、どこか寂しげな瞳をしていた。


光輝は勇気を出して聞いてみることにした。


「エレンさん、元気ないね。」


「…えっ?そう?」


「もしかして、その左薬指と関係ある?」




< 36 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop