星月夜のマーメイド
そんな時だった。
休日何となく気になって図書館に寄ると、隣にある公園のベンチにエレンが腰掛けていた。
どこか上の空のようで、一点を見つめてボーッとしていた。
「こんな所で何してるんですか?」
「あ、光輝君。あれ?今日バイトにいた?」
「今日は休みだよ~。前もあったよね、それ。俺って影薄いな。」
そんな他愛もない話が、凄く楽しかったし癒された。
でもエレンは違うようだ。
笑顔なのに、どこか寂しげな瞳をしていた。
光輝は勇気を出して聞いてみることにした。
「エレンさん、元気ないね。」
「…えっ?そう?」
「もしかして、その左薬指と関係ある?」