星月夜のマーメイド
それからエレンはダンナと出会ったころの話、結婚したころの話をゆっくりし始めた。
「結局人は独りでは生きていけないんだよね…。」
「うん。」
「初めは彼と支え合って生きていこうと決めたんだけどね。」
「うん。」
「彼は私を支えきれなくなったみたい…。」
「…うん。」
「私も…彼を支えきれなかった。」
「……。」
「でもほら、図書館で働くことができたし。私の夢は国語の先生になる事だったから、少しは近づけたかなって。」
「……うん。」
光輝は思ってもみなかったエレンの波乱万丈な人生の足跡を知り、自分の不甲斐無さと非力さを感じてしまった。