星月夜のマーメイド
3時にバイトに入った図書館の中には、エレンの姿を見つけることができなかった。
「お疲れ様です。中島さん、エレンさんは?」
「あらお疲れ様、本気で失恋した光輝君。」
「怖っ、…どこまで知ってるんですか?」
「私とエレンちゃんはツーカーよ!」
鼻息をフンとならす中島に、光輝は小さくため息をついた。
「まぁ気になっているようだから、何で知っているのかお仕事終わったら教えてア・ゲ・ル。」
(中島さんにはかなわないな。)
仕事が終わると、中島は光輝の腕をつかんで、ズンズンと駅の方へ歩き始めた。
「今日ちょうど夫の帰りが遅いのよー。ちょっと飲みに行かない?」
「はい…っていうか俺未成年ですけど。」
結局中島さん行きつけの居酒屋に連れて行かれ、光輝はウーロン茶を飲んでいた。
中島は既に2杯目の生ビールに手が出ていた。
「中島さん、飲みたいだけでしょ。」
「飲まなきゃ人生50年やってらんないわよー!」
(さすが中島さん…。)
酔いが回ってきたのか、光輝に絡みだした。