【短編集】ライン


「松本、」


寂しいよ、なんて言わない。

言ったって、彼はわかってる。

わかってるから、私をそっと抱きしめる。

抱きしめて、私の耳元に口を寄せて優しくしゃべる。


「槙、」

「ん?」

「一緒にきて?」

「どこに?」

「体育館に」

「なんで?」

「見ててほしいから」

「なにを」

「俺を」


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