ハツばあ
やっぱり。

すごい時代を生きてきたよね。

そこでもし、

一発バンって撃たれてたら、

彼と出会うこともなかったんだ。

今、

こうして一緒にお茶を飲むこともなかったんだ。

青空を見上げて思う。

「平和だね。」

「あー、そうだな。」

いつの間にか出した声に、

ハツばあも答えた。

「お昼は酸っぱいのがたべたいなあ、

 ゆきちゃん。」

「はーい。

 なんか酢の物作るよ。」


わざと酸っぱく作る。

驚かせてまた入れ歯が出る。

ケラケラまた笑う。

「ゆきちゃん、酸っぱすぎ。」

「ごめーん。」


たまに、

本当にたまに、

同居も楽しい。

< 10 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop