ハツばあ
次の日は驚くほど静かだった。

昨日のことはまるで嘘みたいだった。

ただ、

家はぐちゃぐちゃだった。

ハツばあといつも過ごすコタツも、

泥んこにまみれていた。

ハツばあは何もしゃべらず、

ただ静かだった。

余震でビクっとしていた。

ハツばあを守らなきゃ。

それが私の支えだった。

今、私の家族はハツばあしかいないのだ。


みんな、生きていて。

いつかハツばあのお母さんが言った言葉を思い出す。


本当にどうか、

皿なんていくら割れてもいいよ。

無事でいて。
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