ハツばあ
一緒に海まで散歩に出た。

海までの道は、

2年前とだいぶ違った。

平日は工事車両で入れないが、

休日は誰もいないのだ。

「なんか不思議だね。

 津波がきたなんて信じられないわ。」

「昔の津波の時は、

 近所で豚とか牛とか飼ってたからね、

 死骸がすごかったんだよ。」

「へー。」

「だから、まだましだよ。」

津波の話も何度も聞いた。

じいさんがおぼれてる人を助けたってこと。

海が引いたからその砂浜で魚をとってる人がいたこと。

屋根をつたって逃げたこと。


いつの時代も、

みんな必死に生きていた。
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