ハツばあ
「ゆきちゃーん、ゆきちゃーん。」

そう、

ハツばあは、このなんでも、

調子が出てきたときに私を呼ぶ。

それがたまにイライラするのだ。

もお。

今いい感じで、

描けてんのに。

「はーい!!なにしたのー?」

「ゆきちゃん!!!飛行機がとんでた。」

「うん。ほんとだ。」

縁側にいって空を見ると、

澄み渡った青空に、

飛行機が飛んでいた。

「今日棚から箸が落ちてきてさ。」

「うん。」

ついでだしな、

と、私はお茶を入れる。

「あの飛行機も落ちてくんじゃねえべか。」

「そんな、

 飛行機が箸と同じ確率で落ちてきたら困るから。」

飛行機の騒音が聞こえてくる。

「戦争が始まる。」

「始まんないよ。」
< 6 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop