あるあるの恋なんかしてやんない!
五分で用意して、家から転げるように
出てきたあたしをやつは、爽やかな顔で待っていた。
「蒼子、後ろ乗りなよ♪学校間に合わないよ!」
「あ、うんありがと…。」
やつの、グリーンのちょっと可愛い自転車の
荷台に乗った。
さっきから"やつ"と呼んでいるこの男。
そう。あたしの幼馴染みの
佐月 洸(サツキコウ)はあたしと同い年の高校2年生。
頭脳明晰、運動できます。イケメンで、
そして……モテる。
うん。ベタな感じでしょ?
これがあたしの悩み事でもある…。