トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
「何のことだ」
「とぼけるな! わざわざあんな獣道を通らなくても、階段があったじゃない。しかもあんな……」
思い出しそうになり、声が尻すぼみになる。
「他に道はあるのかとか聞かれなかったし。アレに関しては、運が良かったな……」
「黙れ変態!」
山彦も答えてくれない私の叫びは、空しく消えていくだけ。
後で知ったのだが、あの神社は花火の日は恋人たちの集まる隠れた名所となっているらしい。
おのれ謀ったなと怒りを燃やすも既に遅し。
脚や腕など、数箇所にわたって虫に食われたところをかく毎日。
夏休みはまだ始まったばかりだ。