トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
トイレの神様のあり方が、変わっている。
もう、神様という存在は必要ないのかもしれない。
彼女たちは、アドバイスを必要としていない。
皆、自分で考えて、自分の意思で選んでいる。
トイレの中で、拍手と祈りの声を立て続けに聞くたび、思い知らされる。
必要なのは、ただひとつ。
場所だ。
相談する人でなく、願う場所なのだ。
近くで祈りを捧げる場所が欲しいだけなんだ。
それに気付いた時。
私は、トイレに通う意味を失った。
* * *
授業合間の休憩時間。
本来の目的でトイレを利用しようとしたら、同じ階のトイレは大混雑。
女子のトイレは長い。
休み時間は短い。
だったら、別の階のトイレに行くしかないでしょう!
てなわけで。
「どうしてどこも満員なのかしらねぇ」
わざわざ1階まで降りてきました。
移動に無駄に時間をとりました。
こんなことなら、初めから並んでおけばよかったと後悔しています、まる。
しかも次は移動教室。
「遅刻決定ですか」
クラスの教室に向かおうと階段を駆け上がる。
あと1階分というところで、見知った顔に遭遇した。