トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
浮気男は人気者に
浪瀬に告白し、別れた日から1日が過ぎた。
習慣とは恐ろしいもので。
「松本くんと付き合いたいです」
「誰でも良いからイケメンの金持ちを!」
「かっこいい彼氏ほしー」
私は今、校舎裏近くの女子トイレの中にいた。
捨てたはずのものに縋っている自分がいる。
こうも未練がましいと、自分の滑稽さに笑えてきますね。
ここまでこらえ性がないとは、予想外でした。
気付いたら足がここに向いていて、個室に入っていたのだから。
でも、これでもいいかと思えてきた。
今更出来上がったグループに混ざれないし。
第一、こんな窓際を相手にする人なんているはずないもの。
どうせ暇ですし。
というわけで。
神様業は絶賛継続中。
文化祭前の今の時期はお祈りの意味合いが強く、依頼はない。
ひとつひとつ聞くのにも飽きてきたところですし。
こんな大勢の中で、真剣な相談依頼をしてくる人はいないだろうとあたりを付けて、目を閉じた。