トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
* * *
次の日。
登校すると、学校中がざわついていた。
何かあったの?
教室まで注意して歩いていると、耳に入ってくる情報。
「1年の浪瀬って知ってる?」
「誰そいつ」
「知ってる。あの浮気男だろ」
「何それサイテー」
1年の浪瀬って、うちのクラスの浪瀬忍しかいないはず。
あいつ器用だから、ばれるようなことはないと思ってたんだけど。
今までだって、巧妙に隠してきてたし。
浪瀬は一体、どうしたっていうのかしら。
教室前には当の本人を見ようという野次馬。
それらの隙間を抜けて、教室に入る。
教室内では、廊下とは比べ物にならないほど詳しい情報があった。
「なに、浪瀬昨日ブッキングしたの?」
「そうなんだよ。俺ちょうど見たんだけどー」
浪瀬の周りで彼の友人らが面白おかしく話す。
耳はそちらにやりながら、興味ない風を装う。
現場を目撃した友人曰く。
別れを告げていない彼女を呼び出したが、集合場所でまた別の別れを告げていない彼女と遭遇。
お互いに自分が今カノであることを主張し、浮気発覚というわけだ。