トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
偽装彼氏は破局に
学祭が終わり、休み明けの今日。
雲ひとつない晴天の下。
なんだか無駄に視線を感じる。
校舎に入ると、それが顕著にあらわれた。
これ見よがしにヒソヒソする人達の波を突っ切って、自席にたどり着く頃には放課後以上の疲労感に襲われていた。
重いカバンを机に投げ、それを枕に突っ伏す。
地味で無害な一般生徒になんで仕打ちですか。
ここ最近、痛い視線を浴びることが多い気がするのですよ。
はぁ…………。
朝日が眩しい。
いや、いい陰ができた。
「ちょっとあんた!」
この声、ふたつ離れたクラスの上坂さんか。
朝からキンキン声がうるさいのよ。
どこから出てるのかしら。
「聞こえてるんでしょ!」
他所でやってくれませんかねぇ。
女子共の醜い喧嘩を、遠くの陰から野次馬しに行きたいんだけど。
「無視するんじゃないわよ!!」
一際大きいキンキン声と同時に、枕にしていたカバンが揺れ、悟った。
やっぱり、ターゲットは私でした。