トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
うちらは決まった、ってことは私の出場種目は…。
黒板の文字を追っていく。
あった、大縄跳びですか。
誰かが書いてくれたようですね。
人気なかったようで、枠の最後にある安田の文字。
苦もなく目当ての競技になれて万々歳。
活発なクラスでよかったー!
「浪瀬君は何にするの?」
「んー、じゃ、これで」
黒板近くで女子に囲まれていた浪瀬が徐に選んだのは、市場と川邊が争っていた場所。
「何すんだよ浪瀬!こっち来て堂々と勝負しろ!」
それに気づいた市場が文句を言う。
「さっきから煩いのよ男子! もう時間もないんだから」
「ブスの僻みか?」
「全部聞こえてんのよ!」
「男子ってホントサイテー」
「いいじゃん、勝手に決めちゃおうよ」
「だったら、ここはこうで……」
女子がチョークを持ち出したのを掠め取り、浪瀬が黒板にチョークを滑らせる。
男子の名前を全て書き終えたところでチャイムが鳴った。