トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
さて、ここでいくつか疑問が生じた。
もう、高校生なのですから、人間が神様を名乗っていることは知っていたはず。
それを理解しながら相談に来ていたはずなのだ。
今更噂好きの人間と罵られることが気に入らない。
本当に有象無象の神がいると信じていた人には、ごめん。
そのピュアさをいつまでも失わないでいておくれ。
……なんて、比較的どうでもいいことはこの際置いておく。
問題は、相談した内容が、翌朝にはクラス中が知ることとなっていたという。
おかしな話ですよね。
トイレの神様が相談を受けるのは放課後。
それから翌朝まで、十数時間しかない。
いくらなんでも、噂が回るのが早すぎる。
そもそも私は相談された事を話した記憶は……。
………ひとり、心当たりがあった。
…………浪瀬忍。
神様業の終わりに、彼に会ったことはある。
彼は言葉巧みに人を誘導することに長けている。
あってはならないことだけど、無意識に話してしまっているかもしれない。
意図的に彼に協力を求めたこともありましたね。
もちろんそれだけで疑っているわけではなく。
浪瀬忍は顔が広い男だ。
私が口を割ったと仮定して、そこから一晩で広まったなら説明がつく。
……一応聞いてみようか。