トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
「お? こっちのは俺が1枚もないな」
奴は別のファイルにも手を付けたらしい。
「おもしれぇ。こいつら芸能人だったら、週刊誌に高く売れる写真ばっかじゃねえか」
けらけらと笑われた。
「俺だけじゃなく、いろんな奴のストーカーやってんだな。……でもやっぱ、俺のが一番多い」
「誰が好き好んで貴様のストーカーなんかするか!」
……あ、つい本音が。
「ちょ、おい待て!」
気づいた時には、走り出していました。
あてもなく走り、息切れを起こした頃、はじめて足を止めた。
「ふぃ、顔はみられてないよね」
誰もいない階段の踊り場で息を整える。
「どこか、他の教室に行ってもう一度情報収集を……」
手元を見ると、愛用のデジカメのみ。
商売道具の入ったカバンがありません。
あれ、どこに置き忘れてきたっけ……。
少し冷静になっただけで、心当たりがすぐに浮かんできた。