トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
もうすぐ次の授業が始まるし、同じクラスだから、向かう先が同じであること。
私と彼に特別な関係など一切無い。
「おい、一緒に行こうぜ」
なんて声が後ろから聞こえた。
瞬間、勢いよく振り返り、彼の鼻先に人差し指を突きつける。
「あっぶねーな!」
シャー!
抗議の声は聞かなかったことにする。
「黙らっしゃい! わざとですか! 貴様は自分の影響力を分かっていないほどバカじゃないですよね。私を女子の醜くえげつない制裁の対象にする気ですか! 5分後に来なさい」
「そんなことしたら、俺様は遅刻……」
「常習犯が、今更遅刻の1回や2回変わりません!」
「ひでーのな」
そう言いながらも律儀に立ち止まってくれる浪瀬。
彼に対する好感度が少し上がった。