トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐





 * * *





命令どおり、5分遅れて教室に現れた浪瀬は、監督教師がいないのをいいことに、騒ぐクラスメートのからかいの的になっていた。




「まーた女の子と遊んできたのか?」



「そんなとこだ」





「そろそろ遅刻回数やべーんじゃねーの?」



「先生来てなくてラッキーだったな」




「うっせ。ちゃんと計算してサボってるっつの」





座って仲良く談笑している浪瀬の腹にはさっきまで無かったふくらみがある。



その下に支えるように手があって。





あのアホちゃん、服の中に隠して猫連れ込みやがりましたね。




その証拠に、猫アレルギーのクラスメートがくしゃみをしだした。




本人は原因が分かっていないようで首を傾げています。







そうまでして猫を連れ込むか!



普通、校舎の影に隠してひっそりとお世話をするものじゃないの?




なのにこんな堂々と……。






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