トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
「どうした、俺様に会えたのがそんなに嬉しいか、ん?」
「ええとっても」
傍若無人な俺様に、私は全力で皮肉った。
私は、こんな奴の為に無駄な時間を過ごしたのか。
あー、悲しすぎて涙も出ない。
もしかして、告白……きゃっ。
とか思った過去の私を殴りたい。
いや、有り得ないとは分かってたよ。
せめて、下駄箱一段間違えて入れちゃった的なオチだとは予想してた。
現実って、こんなもの。
で、普通。
告白スポットへの手紙での呼び出しでイケメンが来た。
となると、期待に胸が高なるところだろうが、相手が俺様忍様なら話は別。
一段間違えちゃった、きゃっ。
な、展開すらも想像できない。
「で? 用件は何よ」
さっさと言えと睨み付ける。
「ちっ、面白くねぇな。『もしかして告白? こんなイケメンが私のこと好きなの?』っつー勘違い甚だしい展開を期待してたっつのに」
「誰が、貴様の顔を見てそんな気持ち悪いことを考えるものですか!」
耐えきれず意見すると、浪瀬忍は通常運転の飄々とした顔で。
「まあいい。お前に素晴らしい役目を与えてやる。俺様にテストを教えろ!」
「……………はい?」
修飾語をすっ飛ばした、意味の通じないことをのたまった。