トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
「冗談でも、励ましてくれて嬉しかった。―――ありがとう、神様」
そう言って、スキップの音はトイレを出て行った。
「………本当なんだけどな」
ぽつりとこぼした音は、誰にも拾われることなく消えた。
* * *
「本当に告ったの!?」
「うん」
そんな会話が聞こえたのは、次の日の朝。
下駄箱で上靴に履き替えた時だった。
「で、どうだったの?」
興味津々に尋ねる女の声に、昨日の声は答える。
「フられちゃった」
「じゃあなんでそんなに嬉しいような清清しい顔してんのよ」
彼女の言うことはもっともだ。
まあ、昨日散々泣いてふっきれたのなら、心配することもない。
周りに人がいないのをいいことに、聞き耳をたてる。
だって、気になるもん。