トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐




今日の中庭の会話は『テストどうだった?』に尽きる。



当たり前の顔をして隣にいる浪瀬も例のごとく。




「なあなあ、お前はテストどうだったんだ?」



とてもにこやかに訊いてくる。




「人に聞くときはまず自分から答えるのが筋ってもんでしょ」



私も負けないくらいにこやかに言い返す。

すると彼はニコニコして、朝の授業で返されたばかりの答案用紙を見せてきた。



ちらっと見るだけに留めるつもりだったけど、つい凝視してしまった。




「は、え、なっ……!?」




気持ち悪いくらいの笑みにどや顔を乗せて、浪瀬は見せびらかしてくる。



そこにある点数は全て、教師がクラストップと発表した数字だった。


私でも、その点数には多少及ばない。



不正する気満々だった彼は、本当に問題を手に入れていたのか。

それとも実力で?

いやまさか………。


もんもんと考えていると。




「さぁ、俺様は見せたぜ。次はお前の番だ!」




いつでも笑う準備は出来ているという奴に、自分から笑われに行くほど私はマゾではない。



どうにか誤魔化せないかなー。




遠い目をしかけた私に、突如、救世主が現れた。





< 98 / 252 >

この作品をシェア

pagetop