トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐
今日の中庭の会話は『テストどうだった?』に尽きる。
当たり前の顔をして隣にいる浪瀬も例のごとく。
「なあなあ、お前はテストどうだったんだ?」
とてもにこやかに訊いてくる。
「人に聞くときはまず自分から答えるのが筋ってもんでしょ」
私も負けないくらいにこやかに言い返す。
すると彼はニコニコして、朝の授業で返されたばかりの答案用紙を見せてきた。
ちらっと見るだけに留めるつもりだったけど、つい凝視してしまった。
「は、え、なっ……!?」
気持ち悪いくらいの笑みにどや顔を乗せて、浪瀬は見せびらかしてくる。
そこにある点数は全て、教師がクラストップと発表した数字だった。
私でも、その点数には多少及ばない。
不正する気満々だった彼は、本当に問題を手に入れていたのか。
それとも実力で?
いやまさか………。
もんもんと考えていると。
「さぁ、俺様は見せたぜ。次はお前の番だ!」
いつでも笑う準備は出来ているという奴に、自分から笑われに行くほど私はマゾではない。
どうにか誤魔化せないかなー。
遠い目をしかけた私に、突如、救世主が現れた。