転校生のカノジョのヒミツ
彼女の胸のあたりにあたってしまった腕からは
なんの鼓動も感じさせられず、
ものすごく彼女の体は重くて、
俺の体も床にたたきつけられそうになってしまって、
そして、
そして、
倒れた彼女は
止まってしまった彼女は、
ただの物にしか見えなくなってしまって、
表情も肌も
髪の毛も目もすべてが人間に見えなくなってしまっていて。
さっき信じてしまったものを必死に否定しようとした自分がいて、
おれはただ乾いた笑いをこぼす。
しばらくして、もう一人の彼女の名前を呼ぶ。
「はなさん。」
「なんですか?」
即答だった。
「いつなの?」
「なにがですか?」
やっぱり即答。
「これが壊れるのは?」
「これって?」
即答。
だから俺も即答。
「一方雪菜の作った、この体のことだよ。」